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                                  ギリシャ売却

 空港の売却 急進

 ドイツの「フラポート」(Fraport AG)は2017年4月、ギリシャ14空港の運営権を取得した。フラポートが73.4%、ギリシャのCopelouzos Groupが26.6%を保有する「フラポート・ギリシャ」(Fraport Greece)が4年間で4億ユーロ投資し、40年間運営する。

 アクシオン空港、カヴァラ・メガスアレクサンドロス空港、テッサロニーキ・マケドニア国際空港、コルフ・イオアニス・カポディストリアス空港、イオアニス・ダスカロギアニス・ハニア国際空港、ケファロニア島国際空港、コス空港、ミティリーニ空港、ミコノス島空港、ロードス・ディアゴラス国際空港、サントリーニ空港、スキアトス空港、ザキンゾス・デオニソス・ソロモス空港の14空港が該当する。

 港の売却

 中国遠洋運輸集団(COSCO)は、ピレウス港湾管理会社(OLP)株式の67%を3億6850万ユーロ(479億円450億円)で取得する。まず、51%の2億8050万ユーロ(364億6500万円)を払い、5年後に16%の8899万ユーロ(114億4千万円)を払う。

 他、6億ユーロ(740億円)でコンテナ埠頭を新設する。5年間、6億ユーロ(740億円)で自動車ターミナルなども整備する。港湾利権獲得に4億1000万ユーロ(533億円)払う。10年間、3億5千万ユーロ(455億円)で港湾の整備・開発を進める。ギリシャ政府の港湾管理局は2052年まで港のインフラの利権保有者として存続する(『CANARY PORTS』)。

​ コスコは2009年から、ピレウス港のコンテナターミナルの半分を35年間、5億ユーロ(650億円)で借り受けている。今は1日当たり6千個のコンテナを扱っているが(2014年)、「2021年に720万個」を目標とする(「El Pais」)。スロベニアにあるSONYのアッセンブル工場もこの港を利用している。

 中国は第2の港であるテッサロニキも狙う。

 

 ギリシャの事情=経済破綻

 民営化は新民主主義党(ND)政権時代からの課題であった。当初反対していた急進左派連合(シリザ)も、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から経済支援を受ける条件として、民営化容認に転じざるを得なかった。

 ギリシャはGDPの18%を観光産業が担う。だが、その玄関口である空港と港は外資に買われてゆく。

 労働人口の25%に当たる公務員は50代で退職する。日本人のような勤勉さもない。「ギリシャ買い」が止まる要因が見当たらない。

 中国の事情=一帯一路

 中国が一帯一路(新シルクロード)構想を具体化している。

 中国企業がオーストラリア北部ダーウィン港を99年間、5億600万豪㌦(476億円)で賃借する契約は2015年10月に結ばれだ。同港は米海兵隊が駐留し、南シナ海有事の際は最前線になり得る。

 アフリカ東部ジブチに、海賊対策などを目的とする中国海軍の「補給施設」を建設計画は2016年2月に発表された。同年11月に視察した范長竜・中央軍事委員会副主席(制服組トップ)は「軍事力による海外任務を遂行するため、有力な支えを提供しなければならない」と述べた。中国初の海外基地となる。ジブチは日本の自衛隊の拠点でもある。

 中国は世界一の原油輸入国であり、その9割を海上輸送に頼っている。米海軍がマラッカ海峡を封鎖すれば経済的に大きな打撃となる。そんな「マラッカ・ジレンマ」に悩まされる中国も必死である。

 今、スリランカの港を実質的に支配し、セルビア・ハンガリー間鉄道の建設も視野にある。

 

                                                                2017年1月

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