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        科学的管理法から人間関係論へ (レジュメ)

 科学的管理法

 テイラーは2011年に科学的管理法を唱えた。

1.内  容

(1) 課業管理

 ① 課業の設定………仕事量(1日のノルマ)の設定

 ② 条件の標準化……熟練度によらず同条件で働く。「唯一最善の作業方法」の確立→作業能率向上

 ③ 成功報酬…………出来高制

 ④ 不成功減収………出来高制

 ⑤ 最高難度の課業…優秀な工員の仕事量が基準

(2) 作業の標準化(作業研究)

 ① 時間研究…標準的作業時間の設定→1日の課業を決定

 ② 動作研究…工具や手順の標準化。ストップウォッチで要素動作を計測

(3) 最適な組織形態

 計画と執行の分離。内部請負制度&徒弟制度の解体。産業の近代化。職能別組織(function-oriented organization)の原型。エマーソンはライン・アンド・スタッフ組織を提唱

2.弊  害

 労働強化。人権侵害。ホワイトカラーとブルーカラー

 フォード・システム

 03年創業のフォードはA型(小型車)から始まった。08年、軽量で機能的なT型を開発し、量産を可能とした。11年にテイラーが唱えた科学的管理法が現場に持ち込まれた。フォードは13年にベルトコンベヤを導入し、流れ作業を始めた。

 ホーソン実験

1.経  緯

 1924~32年、米国のウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で実験が行われた。ハーバード大のメイヨーは途中から加わった。

2.内  容

 ① 照明実験…工場の照明の明るさと…作業能率との関係は希薄

 ② リレー組み立て実験…賃金、休憩時間、軽食、部屋の温度・湿度→作業能率との関係は希薄

 ③ 面接調査…モラール(労働意欲)は人間関係に左右される

 ④ バンク(電話交換機の端子)の配線作業

3.結  論

 ① 各労働者は自分の労働量を自ら制限している

 ② 検査官と労働者の人間関係が影響

 ③ 労働者の能力的差の影響は小さい

 人間関係論

 ホーソン実験を受けて、メイヨーは「生産性の向上に従業員のモラール(勤労意欲)が重要であること」「モラールの向上には職場の人間関係が重要であること」を導き、人間関係論を展開した。

 職場には部署や職務内容によって形成されるフォーマル・グループと、同好会や交流会などのインフォーマル・グループがある。メイヨーはインフォーマル・グループによって連帯感が生まれ、生産性向上につながると考えた。

 マズローは欲求5段階説「生理的欲求」「安全欲求」「愛・所属欲求」「自尊の欲求」「自己実現の欲求」を唱えた。

 マグレガーは、X理論(性悪説)よりもY理論(性善説)が優位であると唱えた。

メイヨー(Elton Mayo、1880-1949) オーストラリア生まれ。1923年渡米,29からハーバード大教授。ホーソン実験を主導。人間関係論を展開。『産業文明における人間問題』(The Human Problems of an Industrial Civilization 、1933)、『アメリカ文明と労働』(The Social Problems of an Industrial Civilization、1945)、<The Political Problems of an Industrial Civilization.(1947)。

マズロー(Abraham Harold Maslow、1908-1970) 米心理学者。ウィスコンシン大で博士号。ブランディス大、マサチューセッツ工科大で教鞭を取る。人間の欲求は①生理的欲求、②安全の欲求,③社会的欲求,④自我欲求,⑤自己実現欲求―5段階からなるとする「欲求5段階説」を提唱。『人間性の心理学』(Motivation and Personality, 1954)、『創造的人間-宗教,価値,至高経験』(Religions,Values and Personality、1964)、『人間性の最高価値』 (Farther Research of Human Nature、1972)。

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