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  芸能事務所に相次ぐ勧告  業界全体がブラック 

 

 キューブ(渋谷)では20代男性が月200時間を超える残業をしていた。49連勤もあった。

 男性が加入する「裁量労働制ユニオン」(東京)によると、男性は16年4月にキューブの関連会社に入社した。同10月にキューブに出向し、音楽アーティストのアシスタントマネジャーとして働いた。同社はかつて残業未払いで勧告を受けたため、17年4月に裁量労働制を導入した。法定の対象業務の「プロデューサー、ディレクター」であるとして、男性に裁量労働制を適用した。

 だが、男性には業務遂行の裁量はなく、実際の業務は打ち合わせへの同席や衣装の用意、グッズ売り場の設営など補助的なものだった。アーティストの活動方針やスケジュールや業務の進め方は上司が決めていた。男性は18年12月に離職した。同社は19年1月18日に渋谷労基署から勧告を受けた

 同事務所には「いきものがかり」などが所属している。

 吉本興業は、同社と子会社で36協定で定められた月50時間を超える残業をさせたなどとして、12年3月に新宿労基署から勧告を受けた。過労死ラインの月100時間を超えた従業員もいた。18年8月と9月にも、就業規則の変更を届け出なかったり、休日割増賃金の未払いで勧告を受けた。

 アミューズは、残業時間の上限を決める36協定なしで従業員に残業させたとして、13年8月に渋谷労基署から勧告を受けた。18年10月にも、月に1日も休まず働いた従業員がいたとして勧告を受けた。

 同事務所にはサザンオールスターズ、Perfume、福山雅治らが所属する

 LDH JAPAN(目黒)は、月の総労働時間が400~500時間に及んだ従業員が複数いたとして14年1月に品川労基署から勧告を受けた。また、マネージャーの残業時間が36協定で定めた上限を超えていたとして18年2月にも勧告を受けた。

 同事務所にはEXILEが所属する。

 業界の体質 

 長時間労働や残業代未払いは当たり前で、「嫌なら辞めちまえ」と逆切れする。夢を求めて上京する若者の「やりがい」を餌に搾取を続ける。業界全体がブラックで、体質が古い。今後は外国人材で補うつもりか?だが、相次ぐ勧告は改善のチャンスでもある。優秀な人材が集まるか、離れるか、岐路に立たされている。

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