

2章 労働契約
14条 契約期間等
神戸広陵学園事件 適性を評価・判断するための雇用契約期間は試用期間と解する
大日本印刷事件 内定通知+誓約書で解約権留保付労働契約成立(c.f.26条)
[通達] 当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者には、30日前までに雇止めの予告が必要
(平25.10.22厚労告357号)(c.f.20条)
[有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準4条]
有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に限る)を更新する場合、
契約期間をできる限り長くするように努めなければならない
15条 労働条件の明示
1項
明示しなければ30万円以下の罰金(120条1号)
明示していれば、相違していても罰則なし[H27]
就業規則にも明示(89条) 就業規則には不要
絶 対 的 退 職 労働契約の期間
就業の場所・従事すべき業務
所定労働時間を超える労働の有無
相 対 的 退職手当 休 職
表 彰
[通達] 労働条件が就業規則に記載されているものであれば、就業規則を交付すれば書面による明示となる(平11.1.29基発45号)
[通達] 派遣元は、派遣先のみが義務を負う労働条件も含めて明示する(昭61.6.6基発333号)
2項 即時解除
[通達] 自己以外の者の労働条件の事実と相違を理由とした即時解除は不可(昭23.11.27基収3514号)
3項 必要な旅費
[通達] 即時解除で14日以内に帰郷する場合の必要な旅費には、交通費のみならず帰郷するまでに通常必要とされる経費が含まれる
(昭22.9.13基発17号)
[通達] 社宅が福利厚生施設なら労働条件ではないが、賃金なら労働条件なので即時解除可(昭23.11.27基収3514号)
16条 賠償予定の禁止
[通達] ① 「故意又は過失により会社に損害を与えた場合損害賠償請求することがある」は実損害額の賠償なので可
② 「講習終了後1年間の勤務義務を課す。途中で退職した者に対しては講習費の全額を弁償させる」旨の契約は損害賠償額を予定する契約
であるから違反(昭22.9.13基発17号)
17条 前借金相殺の禁止
[通達] 労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融又は前払いのような単なる弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないと認められるものは、労働を条件とする債権ではない。労働者の希望により賃金を繰上げて支給し、翌月以降の各月の賃金から小額ずつ差し引くことは前借金債権相殺禁止の規定に違反しない。ただし、賃金の一部控除に当たるので、労使協定(24条)の締結が必要である(昭33.2.13基発90号)
[通達] 総合的に判断して労働することが条件となっていないことが明白な場合、前借金相殺禁止の規定に違反しない(昭63.3.14基発150号)
18条 強制貯金
[通達] 預金の受入は年5厘の利子。5厘を下回るときは5厘とみなす(平13.2.7厚労告30号)
18条の2(平20削除)
高知放送事件 解雇権濫用法理
東芝柳町工場事件 反復更新後の雇止めは解雇の法理を類推適用
日立メディコ事件 反復更新後の雇止めは解雇の法理を類推適用。ただし、人員削減のためなら可
日本食塩製造事件 ユニオンショップ協定の解雇は有効。組合からの除名が無効なら解雇も無効
電電公社千代田丸事件 生命に危険のある出向命令拒否で解雇は無効
解雇権濫用法理…平16年に18条の2が加わったが、平20年に労働契約法に移行し削除
19条 解雇制限
[通達] 解雇制限期間中は労働者の責に帰すべき事由があっても解雇できない(昭24.11.11基収3806号)
[通達] 解雇制限期間中でも契約期間満了で労働契約終了(昭63.3.14基発150号)
20条 解雇の予告
細谷服装事件 予告期間・予告手当なしの解雇も解雇予告として有効
あけぼのタクシー事件 予告なしの解雇は休業手当(26条)を支払え
秋北バス事件 定年解雇でも解雇予告必要(c.f.90条)
[通達] 即時解雇の解雇予告手当は、解雇の申渡しと同時に支払う(昭23.3.17基発464号)
[通達] 解雇予告手当なしで即時解雇は無効だが、30日経過後に解雇する旨の予告として効力あり(昭24.5.13基収1483号)
[通達] 解雇予告の意思表示は、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には取り消せる。同意がなければ任意退職ではなく解雇(昭33.2.13基発90号)
[通達] 解雇予告期間中に労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業する場合、19条の解雇制限の適用を受ける。なお、治ゆした日に改めて解雇予告する必要はない(昭26.6.25基収2609号)
[通達] 有期労働契約を3回以上更新又は1年超継続勤務 → 30日前の解雇予告必要(平15.10.22厚労告357号)
[通達] ① 労働者の責に帰すべき事由で即時解雇の意思表示をし、行政官庁から解雇予告除外認定
→即時解雇の効力は即時解雇の意思表示をした日に発生
② 使用者の故意または重大な過失によらない火災で事業所焼失→解雇予告不要だが、行政官庁からの解雇予告除外認定は必要
(昭63.3.14基発150号)
[通達] 解雇予告手当は労働の対償ではないので賃金ではない(昭23.8.18基収2520号)
[通達] 日々雇用される者として雇い入れ、数日後に2月契約し、期間満了で解雇した。2月契約が反復継続したものでなければ解雇予告不要 (昭27.4.22基収1239号)
[通達] 組合専従でも会社に在籍すれば解雇予告手当必要(昭24.8.19基収1351号)
[通達] 56条の最低年齢違反の労働契約は無効であるが、解雇予告手当は必要(昭23.10.18基収3102号)
(c.f.)雇止めの予告が必要な有期労働契約(14条)
[通達] 解雇予告手当の算定に係る平均賃金の算定事由発生日は、労働者に解雇の予告をした日(昭39.6.12 36基収2316号)
21条 20条不適用
日日雇い入れられる者 → 1月超
2月以内 → 所定の期間超
季節的業務に4月以内 → 所定の期間超
試の使用期間 → 14日超
大日本印刷事件 新規学卒者の採用内定は解約権留保付労働契約の成立。試用期間中の地位と同じ。 (最高裁 昭54.7.20)
その後は、中途採用の内定についても同様の判決が続いた。
インフォミックス事件 (東京地裁 平9.10.31)。オプトエレクトロニクス事件 (東京地裁 平16.6.23)
22条 退職時等の証明
労働者の請求しない事項を記入してはならない
[通達] 解雇された労働者が解雇の事実のみについてのみ証明書を請求した場合、使用者は解雇の理由(横領したことetc.)を記入してはならない
(平11.1.29基発45号)
[通達] 労働者が解雇予告期間中に解雇の理由について証明書を請求した場合、解雇予告期間が経過した場合でも使用者は証明書を交付する義務
がある。労働者は解雇予告期間が経過したからといって改めて証明書を請求する必要はない。解雇予告期間中に他の理由で退職した場合
はこの限りではない(平15.10.22基発1022001号)
23条 金品の返還
[通達] 労働者の死亡又は退職の際に権利者から請求があった場合、賃金は7日以内に支払う必要があるが、退職手当は就業規則等で定められた支払期日に支払えば足りる(昭63.3.14基発150号)
[通達] 退職金は民法の遺産相続人に支払うのが原則であるが、労基法施行規則42条、43条の遺族補償の順位による旨を就業規則で定めても有効
(昭25.7.7基収1786号)