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  有給休暇 5日以上取得 義務化  労基法39条7項 働き方改革 

 

 労基法の改正により、19年4月から有給休暇の取得が義務化された。年10日以上の有給休暇が付与されている労働者には、必ず5日取得させなければならない(39条7項)。

 違反すれば、労働者1人につき30万円未満の罰金が科せられる(120条)。それは2年前に遡って適用される。

 有給休暇を上手く消化する方法は?

 「休日→有給休暇」⇒就業規則の変更が必要

 ① 週休2日のうち月に1~2日を平日に変えて有給休暇を取得させる。

 ② 夏季休暇や年末年始などの一部を平日に変えて有給を取得させる

 ①、②は35条の「週に1日以上または4週間に4日以上」には反しない。ただし不利益変更に当たるため、就業規則の変更が必要となるため、すべての従業員と個別に話し合い、同意を得る必要がある。

 「空白期間→再契約」⇒転職者が増える

 ① 正社員やフルタイムの契約社員は全労働日の8割以上の勤務が6か月継続する。

 ② パートやアルバイトは週に30時間以上の勤務が6か月継続する。

 ③ 短時間労働で週4日の勤務が3年半継続する。

 ④ 短時間労働で週3日の勤務が5年半継続する。

 ①~④は10日以上の有給休暇が付与される。

 多くの派遣会社が、有給休暇が10日以上付与される前に契約を終了し、一定の空白期間(1か月と1日)を設けて再契約する。勤務に継続性をもたせないためである。

 ただし、空白期間は労働力が不足する。多くの労働者は空白期間に転職してしまう。空白期間をおいても勤務の実態に継続性が認められる場合がある。

 有給休暇の買い取り=原則禁止

 対象期間終了時点に取得日数が5日に達しなかったとき、会社が不足日数分を買い取って給与を支払う。買い取った有給休暇は遡ってどこかの休日を平日に変え、取得したことにする。それは労働者が不利にならないときに限って例外的に認められる。

 ① 退職時残余有給休暇の買い取り 今後、取得する機会がないため、買い取っても労働者は不利にならない。有給休暇で退職者の在籍期間を延ばさなくてもよいので、社会保険料の負担が軽減され、会社にとっても有利である。

 ② 時効になった有給休暇の買い取り 有給休暇は付与から2年で時効となり消滅する。買い取ってもらうえれば労働者にとって有利である。もちろん、義務となっている5日分は取得しているのが前提である。

 ③ 法律で定められた日数を上回る有給休暇の買い取り 39条によれば、有給休暇の上限は20日である。それ以上は福利厚生であるゆえ、20日を超える部分は買い取ってもよい。

 ただし、有給休暇の買い取りは労働者の権利を奪うことであるゆえ、原則として違反である。取得日数を年5日にするために買い取ることも同様に違反である。

 取得促進のために

 有給休暇の取得は労働者の当然の権利である。取得を促進するためには、① 業務の効率化を図り、労働時間を減らすことが必要である。② 職場における意識改革を進め取得しやすい雰囲気をつくることが重要である。 

 労働組合または労働者の過半数代表者と労使協定を結べば、5日を超える分に対する計画的付与が可能である。たとえば、年に20日付与されている労働者であれば、15日が計画的付与の対象であり、5日は労働者が自由に取得できるようにしなければならない。

 飛び石連休中の出勤日や、長期休暇の前後に付与し、大型連休にすることもできる。会社全体や事業所全体で一斉に休業することもできる。

 休日を増やすことで労働者のモラール(志気)が向上し、離職率が減少するので、生産性が向上する。つまり、それは会社のためでもある。

  計画的付与 モラール向上 生産性向上 

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