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                              非正規 格差

 地方自治体の非正規格差(2016年4月、総務省調べ)

 46万人(2005)→50万人(2008)→60万人(2012)→64万人(2016)。

 自治体全体19%。政令市を除く市区32%、町村35%と高い。女性75%。(c.f.)国17%。

 事務補助10万人、教員・講師9万人、保育士6万人。

 推定平均年収…非正規一般事務職160~210万円、正規660万円の3分の1以下。

 背景…2000年代前半、小泉政権の三位一体改革で地方交付税や補助金が削減された。

 (ex.) 長崎県佐々町66%(全国1位)。

 (ex.) 徳島…24市町村職員12,396人中3,449人(28%)。徳島市のベッドタウンの北島町は45%。
 (ex.) 沖縄…県6,587人(21%)。市町村8,712人(42%)。公立幼稚園教諭62%。市町村に配属される子ども貧困対策支援員は100%。
 (ex.) 非正規40代女性は6年半にわたって長崎県と外郭団体の間で2カ月おきに雇用主を切り替えられていた。女性は社会保険に加入できず、有給休暇や退職手当も得られなかった。県に対し、女性への慰謝料40万円を支払うよう命じた(長崎地裁平成28年)。

 

 法 改 正
 2017年5月、地方自治法と地方公務員法が改正された。自治体ごとに異なっていた非正規の採用根拠を会計年度任用職員に統一し、期末手当などを支給できるようした。
 だが、抜け道もある。会計年度任用職員をフルタイムとパートに分け、待遇に差をつける。フルタイムは給料と期末・勤勉手当を含む諸手当を受けられるのに対し、パートは報酬と費用弁償、期末手当が入るだけである。今後、フルタイムを減らしてパートを増やす自治体も増えるであろう。自治体は弱者をいじめるためにあるとは考えたくないが、これが実態である。

 日本郵便事件(東京)

 日本郵便の非正規社員に年末年始勤務手当や住居手当が支給されないのは違法である。労働契約法20条によれば、正社員と非正規社員の労働条件の相違は職務内容などを考慮して不合理であってはならない。年末年始勤務手当は最繁忙期の勤務に対する対価であり、非正規社員に支払われないのは不合理であるから、正社員の8割を払うべきである。住居手当は転居を伴う異動のない正社員にも支給され、非正規社員に支給されないのは不合理であるから、正社員の6割を払うべきである。よって、日本郵便は原告3人に計92万円(1人4~50万円)を支払うべきである。

 一方、同法20条は「同一労働同一賃金の考え方を採用したものではなく、正社員と非正規社員の間で賃金制度上の違いがあることを許容する」。非正規社員側は、「早出勤務手当」「祝日給」「夏期・年末手当」「夜間特別勤務手当」は「不合理な相違とは言えない」。

                                                             (東京地裁2017年9月14日)

 ハマキュウレックス事件(浜松市)

 契約社員の男性が賃金格差の是正を求める。

 会社に手当1万円支払い命令(大津地裁彦根支部2015年9月)。

 会社に手当77万円支払い命令(大阪高裁2016年7月)。

 長沢運輸事件(横浜市)

 定年退職後に長期契約で再雇用された男性3人が賃金引下げは理不尽と主張 。

 会社に1人当たり98万~204万円の支払いと定年前の給与水準に戻すよう命令(東京地裁2016年5月)。

 賃下げは合理性があるとして請求棄却(東京高裁2016年11月)。

 メトロコマース事件(東京)

 契約社員の女性4人が賃金格差は違法と主張。

 請求の大半を棄却(東京地裁、2017年3月)。

 係争中(東京高裁)。

​   ジョン・ロールズの正議論に基づき、同一労働同一賃金を推進!!

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